民事再生のメリット
1.資金繰りの改善
債権者の同意を得ることが前提条件になりますが、負債の一部をカットすることが可能です。負債をカットした後の残りの負債については、10年の内に元本を延べ払いする方法をとるため、資金繰りの負担を抑えることができます。
2.経営陣の退陣は不要
倒産の際の選択肢として会社更生法がありますが、会社更生法は株式会社でなければ申請できません。会社更生法と民事再生法の一番の違いは、会社更生には管財人が選任され、旧経営陣は経営権を失い退陣することになります。民事再生では手続きが開始されても、経営陣の退任や地位の変更する必要がないため、元の経営者のまま事業再生を実行することが可能です。
3.従業員の即時解雇は不要
事業を再生し、継続することを目的にしているため、従業員を即時雇用する必要はありません。未払い賃金についても一般優先債権として認められています。とはいえ事業を再生していく上で、リストラを行なう必要も考えておく必要はあると思われます。
4.民事再生の申立てと同時に弁済禁止の保全処分が発令され、不渡りを回避することが可能です。
弁済禁止の保全処分とは、会社が買掛先等に支払ってはならないとする裁判所からの命令です。裁判所からの命令ですので、手形も決済してはいけないということになり、いわゆる手形不渡りを免れることとなるのです。 裁判所との面談等も必要になるため、遅くとも手形決済日の2~3週間前には弁護士に委任する必要があります。
5.連鎖倒産を防ぐための債権の弁済
これは債権者側の視点ですが、主要取引先が民事再生の申請を行った際に中小企業ではその取引先も連鎖倒産を起こす可能性がありあます。これを防ぐために、少額の債権であれば弁済を許可される場合があります。 この申し立ては再生債務者側の裁判所に対する申立によって検討・実行されるため、直接再生債権者が申し立てることはできません。このため、再生債権者が再生債務者に対し申し立ての依頼をすることになります。依頼があった場合には再生債務者は裁判所に報告しなければならず、申立をしなかったときは、その事情を裁判所に報告しなければならないとされています。
会社更生法では、関係者の権利調整を行い、抜本的な再建を行なうことを一番の目的にしています。このため、経営陣の退陣、株主の交代が行われ、管財人によって担保や債務の管理が進められます。 民事再生は再生債務者の再建を、より迅速に柔軟に進めていくことを大きな目的としています。このため資本や組織の変更においては触れておらず、担保権の行使においても、原則制限がなく、株主に対する影響もありません。
とはいえ、の監督委員による、「不平等な弁済はないか、再建計画は適正か、ちゃんと実行されるか」といった厳しいチェックのもとに計画がスタートすることになります。また、返済計画での債権者表記載内容について確定判決と同一の執行力があるため、再建計画どおりに進まなければ債権者はそのまますぐに強制執行ができるようになっています。