民事再生とは
「破産・倒産」の項目でも触れましたが、「倒産」と言っても引き続き事業を再生させ、継続する目的の制度も存在します。そのうちの一つが民事再生です。民事再生は平成12年4月1日に施行された、比較的新しい法律です。
銀行取引停止処分となるのは二度目の不渡りですが、現実には一度でも手形が不渡りになると取引先との信頼関係が崩れ、事業を継続することが困難になりやすくなってしまいます。民事再生制度は行き詰ってどうしようもない場合だけでなく、「このまま行けば手形の不渡りを起こしそう」「事業の継続に支障をきたしそう」といったような場合にも申請可能です。このため、再生するための資金があるうちに検討をすすめることが重要です。
民事再生の申立てを行う場合、破産申立の場合とは異なり、裁判所への事前相談の期間があるため、保全処分が発令されるまでの間は、秘密裏に手続を進めなければなりません。弁護士と上手く連携を取って、対応にあたってください。
民事再生にはいくつかのパターンがあります。
1.自力再生
債務を免責もしくは分割払いにし、本業の収益から再生債権を弁済し、自力で再建する方法
2.スポンサー
スポンサー企業を見つけた上で、スポンサー企業から資金援助を受けながら再建する方法
3.清算・一部譲渡
事業の一部を譲渡し、その譲渡代金を原資として弁済を行い、清算し、再建する方法 いずれかの方法を取りながら事業の再生計画を作っていきます。
民事再生の申立てを行うと債権の保全処分が発令されるため、旧来の債務は棚上げされ一時的に支払わなくても良くなり、必然的にキャッシュフローがよくなっていきます。申立直後は現金決済を要求されることもありますが、キャッシュフローに余裕が生まれるため、対応は可能かと思います。但し、民事再生の手続きに入ると一旦、取引に関する信用は失われるため、最低6ヶ月は資金繰りの目処が立たないと再建は厳しいといえます。 まずは、弁護士に相談し、客観的に状況を把握することをお薦めします。